相続の法律改正③ 相続人に関わるもの
今日は、相続人に関してのものです。
①、預貯金が遺産分割の対象となる場合に、各相続人は、遺産分割が終わる前でも、一定の金額の範囲で預貯金の払い戻しを受けることができるようになりました。
一定の額とは、『口座の金額』×『1/3』×『払い戻しを受ける相続人の法定相続分』=『単独で払い戻しを受けることのできる金額』で上限が150万円です。口座単位ですので、複数の口座がある場合は、×口座数の金額になります。
金融機関の窓口で手続きして支払いを受けられます。
葬儀費用など相続人が早急に必要とする資金の支払に充てることができます。
このとき注意しなければいけないのは、この制度を利用して払い戻しを受けると、単純承認をしたことになり、相続放棄ができなくなる恐れがあります。被相続人に多額の負債があることが予想される時などには慎重に検討すべきです。
②、遺留分の制度が見直されました。
遺留分を侵害された相続人は、遺贈や贈与を受けた者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の請求ができるように変わりました。(従来は、遺留分の権利を行使すると対象物が共有財産となり権利関係が複雑になるという欠点がありました。)
被相続人の特定の相続人に財産を渡したいとの意思は実現できますが、反面、遺留分侵害の場合は、この相続人は現金を用意しなければならないことになりました。
被相続人は、遺言の中で、遺留分を侵害しないようにするか、遺留分侵害の時の相続人の資金手当ても考慮しておく必要があります。
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