遺言で注意しなければならないこと
自筆証書遺言の保管制度が7月10日からスタートしました。3,900円で法務局が保管してくれますので、所在が不明になることはなく、検認も不要です。
遺言の活用度が格段に高まりました。
一方で、遺言の内容については、民法の改正に伴って、遺留分についての対策を講じておく必要があること、配偶者居住権の設定を検討すること、の2点に注意する必要が生じました。
さらにもう一点、注意するべき事項があります。
それは、特定の財産(工場や自宅など)を特定の相続人(事業承継者や長男など)に相続させるといういわゆる特定財産承継遺言について、対抗要件主義が採用され、遺言に加えて登記などの対抗要件を備えなければ自己の相続分を超える部分を第三者に対抗できないということになりました。
従来は、遺言で特定財産を相続すれば、法定相続分を超える部分も対抗力ありとされていましたが、改正法では、対抗力を備えなければ第三者に主張できないということに変更されました。
ほかの相続人が自己の相続分について登記してしまうとか、ほかの相続人の債権者が代位登記で差し押さえてしまえば、遺言で相続してもその部分については相続したことを主張できないということです。遺言の目的を達成するためには、買い戻すとか、落札者から購入しなければならないということになります。
これは、遺言の方式にかかわらずということですので、公正証書遺言でも同様です。つまり、遺言があるからと安心せず、速やかに相続登記をしなければならないということです。四十九日が終わってからなどと悠長に構えていると後悔することになります。
遺言執行者が指定されている場合、遺言執行者の要注意事項でもあります。
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